Stille Straßen - 静かな通り-

古川あいか、シュテファン・グギスベルグ

展覧会

Stille Straßen - 静かな通り-

古川あいか、シュテファン・グギスベルグ

Aika Furukawa, Process of 'Lost colours-04’
Stefan Guggisberg, 17.01.19

本展示は、日独交流160周年を記念し、LIA(ライプツィヒ国際芸術プログラム)との共催で、「静かな通り」をテーマに古川あいかとシュテファン・グギスベルグの作品を展示するものです。

二人のアーティストはともにライプツィヒで美術を学んでいたのですが、2019年に日本で偶然出会ったことから交流が始まり、そして今回初めて二人一緒にケルン日本文化会館で展覧会を実施することになりました。本展示は、LIA(ライプツィヒ国際芸術プログラム)創設者であるアナ=ルイーゼ・ローランドがキュレーションを担当しています。

二人のアーティストは絵画によって結びついており、制作は両者とも素描から始まります。 二人は、喧騒と静寂、充満と空( くう) といった対照を扱い、その制作においては、絵画空間を有効に活用します。シュテファン・グギスベルグは、選択された画像をその形式の中でアブレーションによって各層から創出していきます。古川あいかは、作品を(空間全体の) 相互作用として捉え、しばしば周囲の空間も含めて制作します。

二人のアプローチの仕方は異なります。シュテファン・グギスベルグは、写真を源としています。彼は光と動きを絵画に求めています。古川あいかは油画出身で、絵画の中の素描を探求しています。どちらも西洋絵画の伝統とその鑑賞習慣とを結びつけたものとなっています。

シュテファン・グギスベルグのi-Pad の絵は光と影を織り込んだ作品であり、線描の絵は洞窟壁画のようです。作品はプラトンの洞窟の比喩( イデア論) を彷彿とさせます。私たちは彼の絵を見て、現実をそこに認識します。鑑賞者はあちこちで影を見つけ、現われたシルエットが通過し、さっと動き、痕跡を確認し、そしてまた静寂に戻り、と彼は知覚のパターンを再生し、そして破壊します。彼は意図的に前景にぼかしを配置し、線描画で画面の背景を鮮明にします。

彼の大型油彩画はガラスの後ろに額装されています。それらはデッサンのように扱われ、 明確に定義された空間は示されません。絵画のプロセスは侵食的かつ露出的です。まるで岩壁から絵のレイヤーを切り崩したかのようであり、そして堆積物を「原岩石」から何か新しいものが出てくるまでそぎ落とします。シュテファン・グギスベルグは彼の視覚的対話について 「この視覚的な遊びをずっと続けなければいけない」と話しています。彼はそれらを見つけるのではなく、それらと出会うのです。

古川あいかの作品は、日常の細部、平素の中の特異点にその視点を持ちます。彼女は日常生活の織物を描き、その使用感、着崩れた感のみならずその美しさも描写します。彼女は素朴さのうちにある豊かさを表現します。(古川あいかの描く)ねじれ、折れ目、シワや裂け目は緻密に描写されるときもあれば、それとは対照的に、より抽象的にグラフィックとなって空間に広がり、ぶら下がり、倒れ、塊になり、また静かに平らになることもあります。平らな壁は障害物ではなく、それ自体がキャンバスとなり、作品へと組み込まれていきます。フレームは可視化され、絵画制作の構造が意図的に表出し、そして彼女の意図するところに設置されます。日常が舞台上に繰り広げられるのです。

古川あいかとシュテファン・グギスベルグ二人にとって、この創作的な過程が最も重要であり、 制作期間や制作時間は彼らの様々な情報や意思決定の結実点です。ここに再び二人は共通点を持ちます。ドローイングに関しては、どちらも日本の書が目を引きます。古川あいかは東洋と西洋絵画の伝統の間をさまよい、その行程を通して静寂を破る一方で、シュテファン・ グギスベルグは、彼の絵画の中に長い間存在しているものを剥がし、彼自身の深層にある世界を引き出すことによって表現します。

豊さは静寂から生まれます。

展覧会は事前予約が必要となっております。ご来館の際は、Guestooからご予約ください。
なお、ご来館の際はワクチン接種証明書、感染からの快復証明書または48時間以内の陰性証明のいずれかが必要ですので、必ずご用意の上ご来館ください。

日時
2021年09月03日 00:00 ~ 2021年10月15日 23:00

場所
Japanisches Kulturinstitut
Universitätsstraße 98
50674 Köln