Spider's Strategy

出版者の眼で見る日本

展覧会

Spider's Strategy

出版者の眼で見る日本

Kanemura Osamu, Today‘s Japan (aus der Serie: Spider‘s Strategy), 1995
Gelatinesilberabzug 2007

オープニング:2025年9月5日(金)19:00
マルクス・シャーデン(The PhotoBookMuseum)によるオープニング講演

写真家・金村修による高く評価された写真集『Spider’s Strategy』に着想を得た本展は、Kunsthaus Lempertzの協力のもと開催され、日本写真の近年の流れを概観する。展示作品は、グラフィックデザイナーとしての経歴を持ち、2008年からベルリンで「ONLY PHOTOGRAPHY」という名の写真専門の出版社兼ギャラリーを運営していたローランド・アングスト(1944–2022)のコレクションより選ばれた。60点以上の写真作品に加えて、いくつかの写真集もあわせて展示される。

展示は、1970年代・1990年代・2000年代に制作された作品を中心に構成されている。1970年代を代表する写真家として紹介されるのは須田一政です。須田は1967年より、実験的な演劇グループ「天井桟敷」の専属カメラマンとして活動を始めた。その後グループを離れ、日本各地を巡りながら、日常の風景、祭り、都市生活を精緻に捉えた優れたシリーズ作品を制作した。

1990年代の作品では、金村修のシリーズ『Spider’s Strategy』が中心となる。このシリーズは2001年に出版され、建築家・磯崎新によるエッセイを収録。80点のモノクロ写真を通して、無数の配線や物体、インフラが張り巡らされた東京の都市風景が描かれている。その写真群は、まるでクモの巣のように複雑に絡み合う形と構造を提示し、当時としては新しい視覚体験をもたらした。

2000年代では、岡原功祐の作品に焦点が当てられる。教育学を学んだ後に写真家としての道を歩み始めた岡原は、社会的マイノリティに焦点を当てた長期的なプロジェクトに取り組んできた。労働移民や自傷行為を行う少女たちを題材とした作品群のほか、スーダン、ビルマ、コロンビアなどでの取材も行っている。

今回は以下の写真家による作品を展示します:
安楽寺えみ(1963年生)、濱谷浩(1915–1999)、日比遊一(1964年生)、細江賢治(1963年生)、一村哲也(1930年生)、石元泰博(1921–2012)、金村修(1964年生)、川内倫子(1972年生)、宮本隆司(1947年生)、長野陽一(1968年生)、岡原功祐(1980年生)、尾仲浩二(1960年生)、折元立身(1946年生)、柴田敏雄(1949年生)、須田一政(1940–2019)、高梨豊(1935年生)、東松照明(1930–2012)、矢矧幸一郎(1930–2010)、柳沢信(1936–2008)。

本展は、Kunsthaus LempertzおよびThe PhotoBookMuseumとの共同企画によるものです。

日時
2025年09月05日 ~ 2025年10月18日

場所
Japanisches Kulturinstitut
Universitätsstraße 98
50674 Köln

料金
入場無料

共催