人々は、人生のどん底に落ちたとき、あるいは苦境に立たされたとき、どこで力を見出すのだろうか。本特集の作品は、困難な状況から新たな視点を得たり、突破口を見出したりするために、どのような可能性があるのかを様々な方法で見せてくれる。一見、平穏に見える家族構成が母親の病気によって崩壊していくドラマで幕を開ける（『ぼくたちの家族』）。若い理学療法士もまた、父親の病気をきっかけに新たな視点を持つようになる（『栞』）。外的な問題だけではなく、内的な傷についても描かれていて、二人の少女は太鼓を叩くことで新たな自信を見出し（『藍に響け』）、二人の女性は恋愛の中で幸せとお金がどのように結びついているのかという問いに直面する（『あのこは貴族』）。互いを理解することは違いを乗り越えることにつながると、若い韓国人女性と和紙職人のヒューマンドラマ（『つむぐもの』）と豆腐屋の主人の日々の物語（『高野豆腐店の春』）は教えてくれる。また、猫が忍者になってしまう時代劇風アクション・コメディや、オフィスでタイムループに巻き込まれる社員たち（『MONDAYS／このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』）など、楽しいエンターテインメントに加え、日本の国技である相撲の魅力をひも解くドキュメンタリーもお楽しみいただけます。